世の中は便利なアプリケーションで溢れている
- 現代社会において用途毎に特化したアプリケーションは、既に他のだれかが作っている
- 例えばCMSはOSSであるWordPressが、商用CMSよりも普及している
- 自分で作成するより、既存のアプリケーションを使った方が品質もよい
- ただ、どういったアプリケーションが存在するかを調べることは大変
- 一方、VPS各社は、需要のあるアプリケーションをテンプレート化して提供している
- テンプレート化されたアプリケーションは、数クリックしただけで直ぐに使い始まることができる
- そこで各社が提供しているテンプレートアプリケーションを調査する
- それにより、どの様な用途のアプリケーションがあるのか調査しカテゴライズする
またVPSでアプリケーションがテンプレート化されている、ということは
- その用途/分野ではメジャーであるため、ネットに情報が多い
- 基本的にOSSである
- dockerのコンテナイメージが提供されている
ことから、自前のVPS環境に構築可能であるし、
知識として持っておいて損はないアプリケーションだと考えています。
テンプレート化されたアプリケーションとは
はじめに、アプリケーションがテンプレートとして提供されているとは、どういうことかといいますと、
たとえば、
ConoHa VPS
では、以下のようなアプリケーションが、テンプレートとして用意されています。
サーバーを追加するときに、サービスに合わせたテンプレートを選択することで、
サーバー作成と同時にOSのインストールやアプリケーションサーバーの構築が完了します。
調査した各社VPS
2022年6月時点で、以下のサイトをもとに調査を行いました。
用途別のアプリケーション
大きく分類すると、以下のような用途別カテゴリに分類できました。
また以下は、用意されてアプリケーションが多い順に並べています。
- ゲーム
- コンテンツ・マネジメント・システム(CMS)
- プロジェクト管理ツール
- グループウェア
- システム監視ツール
- ファイル共有
- システム管理コントロールパネル
- ECサイト
- リモートデスクトップ接続
やはり、1番多いのはゲームでした。友達など複数名で遊ぶマルチプレイでは専用のサーバ上にアプリケーションをインストールすることが一般的なため、VPSのテンプレートでも1番多くなっています。
その次は、WordPressに代表される「コンテンツ・マネジメント・システム(CMS)」がランクインしています。
CMSも多くの種類があり、需要が大きいアプリケーションですので、妥当な順位かなと思います。
以下では、用途別カテゴリ毎にアプリケーションを紹介していきたいと思います。
この記事ではアプリケーション1つ1つについては深堀はしませんでした。
(やりはじめると、記事が長くなりすぎたので。もし気になるアプリがありましたらお問い合わせフォームからご連絡ください。暇を見つけて環境作ってみたりしますので)
ゲーム
- Minecraft
- ARK
- Assetto Corsa
- CS:GO
- Factorio
- Terraria
- Valheim
- Terraria
VPS各社がテンプレートとして用意しているゲームで、一番多かったのは、やはり鉄板の「Minecraft」でした。次点で「ARK」になっています。
友達など複数名で遊ぶマルチプレイでは専用のサーバ上にアプリケーションをインストールすることが一般的なため、
VPSのテンプレートでも1番多くなっています。
実は、1度1CPU/メモリ1G環境にMineCraftを構築しようとしたことがある(VPS WebARENA (Indigo) でMineCraftのマルチプレイ環境構築)のですが、
途中でメモリ不足のエラーが発生し、途中で作り直したりしてます。
この辺りは、少しランニングコストがかかったとしても、
ConoHa VPS
のテンプレートを利用した方が、保守・運用も含めてトータルで楽だと思います。
一方、Google Trendsで調査した結果ではARKがMineCraftに迫る人気度でした。
特に2022年6月はARKが無料配布キャンペーンを実施したため、人気度が急上昇していることが分かります。
日本語の「マインクラフト」での検索と分かれてしまっているので、実態としてはMineCraftの人気度は2倍かもしれません。
コンテンツ・マネジメント・システム(CMS)
- WordPress
- Drupal
- Joomla
- Ghost
- baserCMS
- concrete5
コンテンツ・マネジメント・システム(CMS)で一番多かったアプリケーションは、
やはり「WordPress」でした。その次が「Drupal」でした。
CMSはWordPressがしばらくは利用し続けられる気がします。
JAMSTAC構成も、セキュリティ/性能面で優位性を取り出されますが、
通常利用できている範囲では、WordPressが楽でいいです。
私もVScode(+ WordPress Post拡張機能)とWordpressの組み合わせでこの記事を書いてます。
Google Trendsで調査した結果でも「WordPres」の1強体制がよくわかります。
プロジェクト管理ツール
- GitLab
- Redmine
「GitLab」が一番多かったです。その次は「Redmine」でした。
私は個人開発でGitHubを使っているのですが、
Actionが出来てから、ちょっとしたデプロイも簡単にできるので本当に便利に使っています。
また仕事では開発プロジェクトに従事することが多いですが、
Redmineを使わないプロジェクトはここ数年であっていないです。
アプリケーション開発では、なくてはならないアプリケーションの2つがランクインです。
グループウェア
- Mattermost
- Jitsi Meet
- MediaWiki
- Rocket.Chat
「Mattermost」はSlackライクなビジネスチャットツールです。
オンプレミスに運用できるため、企業のセキュリティポリシーや運用ポリシーに合わせて利用することができます。
「Jitsi Meet」はオープンソースソフトウェアのWeb会議システムです。
アカウント登録不要、専用のアプリケーションのインストール不要なので、参加者の事前準備なしでオンライン会議が開けます。 顧客や生徒など参加者の手を煩わせたくない場合に向いているオンライン会議システムです。Jitsi Meetは一人で数台のパソコンをに繋げることができるようです。
「MediaWiki」はWikipedia用に開発されたソフトで、ローカルな環境にWikiサイトを作ることが可能です。
他のWikiと同様に手軽に複数人で記事の投稿・編集ができたりプラグインによって機能を拡張したりすることができます。
「Rocket.Chat」は、オンプレミス環境でチャットやビデオ会議を実現するアプリケーションです。
最大のメリットは、自社内のクローズなネットワーク内で利用するため、第三者が入りにくく、
取り扱う情報の漏洩が低くなることを最大のメリットとしています。
Google Trendsで調査した結果です。
利用目的が異なるアプリケーションですので、比べる意味はあまりないかもしれません。
システム監視ツール
- Zabbix
- MIRACLE ZBX
- Matomo
- Nagios
- Prometheus
「Zabbix」(ザビックス)は世界中で使用されている監視ソフトウェアです。
ネットワークに繋がるさまざまな機器を監視することができます。
また、監視対象の障害を検知した場合はメールで通知したり、Webインターフェースに表示されます。
「MIRACLE ZBX」はZabbixをベースとして、
サイバートラストが不具合修正や機能拡張を加えて独自に開発したシステム監視ソリューション
「Matomo」(マトモ)はオープンソースで開発されている高機能なリアルタイムアクセスログ解析プログラムです。
Google Analyticsの代わりとなるオープンなウェブ解析を目指して開発されています。
「Nagios」(ナギオス)はOSSのサーバ監視ツールの中で最も実績があり、日本語の情報も充実しています。
歴史が長い分、少し記述が古めかしく感じる部分が出てきてるかもしれません。
「Prometheus」(プロメテウス)は、SoundCloudという
海外の音楽系サービスのエンジニアによって開発された監視システムです。
Prometheus Server(本体)をはじめ、Prometheusのエコシステムに含まれるソフトウェアの多くがシングルバイナリで動いてくれます。つまり1個のバイナリをダウンロードしてくるだけで動くようです。運用も簡単そうですね。
Google Trendsで調査した結果でも,「Zabbix」(ザビックス)が最も人気度が高いことが分かります。
ファイル共有
- Nextcloud
- ownCloud
「Nextcloud」(ネクストクラウド)「ownCloud」(オウンクラウド)ともに、DropboxやGoogle Driveのようなオンラインストレージを構築できるオープンソースソフトウェアです。
違いとしては、Nextcloud が完全に無料であるのに対し、ownCloud のすべての機能に完全にアクセスするには、機能を追加するEnterprise パックを購入する必要があることです。
既存のクラウドサービスを使えばいいじゃないか、となりそうですが、
企業は以下のような理由で、クラウドサービスではなく自前のオンラインストレージを利用が進んでいるようです。
・ 無料サービスも多いため、個人で利用してしまうケースも多く、会社のセキュリティポリシーが守られない。
・ ファイルはサービス提供者のクラウド上に保管され、ファイル保管場所が明確でない。
・ サービス提供者の管理・運用も明確ではないため、サービス提供者側の要因によるセキュリティ事故が発生する可能性もある。
・ サービスの仕様変更や料金の値上げをされてしまうケースがある。
・ サービス障害時など、詳細な原因を把握する事が難しい。
・ メンテナンスによるサービス停止も、サービス提供者の都合により、融通がきかない。
・ 次期システムへの乗り換えや、サービスが終了してしまった場合に、大量のデータ移行が発生する。
Google Trendsで調査した結果では、やはり無料は強いようで「Nextcloud」(ネクストクラウド)の方が人気度が高いようです。
システム管理コントロールパネル
- Plesk
- cPanel
- Webmin
「Plesk」(プレスク)はコマンド操作なしで、かんたんにサーバー構築・運用を実現できるサーバー管理ツールです。
PCを利用するような直感的なGUI(画面操作)で、煩雑なサーバー管理を迅速かつ効率的に行えます。
「cPanel」(シーパネル)は、Webベースのインターフェースを使用し、
Webレンタルサーバー管理用の人気なコントロールダッシュボードです。
「Webmin」(ウェブミン)は、LinuxなどのUnix系オペレーティングシステム (OS) を設定できる
ウェブブラウザベースのツールでです。利用する上ではLinuxの知識が必要になります。
Google Trendsで調査した結果では、1強とまでは言えないように見えます。
ちなみに「Plesk」「cPanel」は有料のアプリケーションとなります。
ECサイト
- Magento
- PrestaShop
「Magento」(マジェント)は、世界で広く活用されているECプラットフォームで、国外との取引や事業の拡大を検討している場合などに特に適したサービスです。2018年にアドビ社が買収したようです。
「Prestashop」(プレスタショップ)は、多言語・多通貨に対応した高機能なECサイト構築システムです。
高い拡張性により、様々な利用用途に合わせてモジュールを組み合わせて利用できるため、オリジナル製の高いサイトを構築可能です。
日本製ECのEC-CUBEは、アプリケーションテンプレートに乗っかってこなかったですね。でもどこかのVPSで見た気はします。
Google Trendsで調査した結果では、1年前(2021/6月)まではEC-CUBEのほうが人気度が高かったのが、
ここ最近「Magento」の方が人気度が高くなっているようです。
リモートデスクトップ接続
- GNOME-XRDP
Linux環境にリモートデスクトップで接続すためのアプリケーションです。
もしVPSでリモートデスクトップを検討するなら、OSはUbuntuが良いと思います。
またメモリ/CPUも最安値スペックにはしない方がいいと思います。
番外編
用途別カテゴリで分類すると、アプリケーションは1つしかなかったですが、
逆に他にはないアプリケーションという意味では、光るものがあるかもしれませんので、ここでご紹介したいと思います。
- Metabase(BIツール):データ可視化ツールです
- Dokku(PssS環境構築):Herokuのようは環境が作れます。
- SiteGuard Server Edition(WAF):ウェブアプリケーションファイヤーウォール
- ArchiveBox(ウェブアーカイブ):いわゆる「魚拓」です。
- code-serve(オンラインエディタ):VScodeがオンラインで使えます。プログラム実行も可。
- ISUCON(コンテスト):「いい感じにスピードアップコンテスト」の略称
- Mastodon(ソーシャルネットワーク):いわゆるTwitterみたいなの
- MT4(トレード):FXのための自動トレードツール
- Squid(プロキシサーバー):プロキシサーバー
- koel(マルチメディア):ミュージックストリーミングサーバー
- Jenkins(継続的インテグレーションツール):プロジェクト管理ツールにしても良かったかも。